今、銀座で稚拙ながらも個展を開かせていただいている。
不定期だが個展を初めて30年ほど。
最初は美大卒の社会人同期の仲間と3人で始めた展示会がきっかけ。
わたしは人見知りで展示会を開催している側なのに誰かくると給湯室にかくれて他の2人に接客してもらうような有様だった。
それから歳月をかさね幾多の経験をしたお陰で「おいでやす」「おいでませー」と今ではすっかり様変わりをしたが。
過去に個展では作品を販売することが多かったが今回は最初から販売する考えがなかったのは、
おいでやす、おいでませの想いが強かったからだと思う。
わざわざ時間を割いて交通費を使って来てくださる。
それだけで嬉しいと思ったから。
そんな想いの私に姉が訊いてきた「個展で売らないでどうするの?ギャラリー費は全部自分もち?たくさんの作品もどこに保管するのよー」
いいの、いいのだ、それでいいの。心で頷き姉に応えた。
「見てもらえるっていうことでいいのよ。作品は将来のサロン用だし」
そう、自分の作品のストーリーを説明して、それで観てくださる人が一笑してくださり、一緒に「わははっ」となることがこの上なく幸せな時間。
お金では買えないこと、店頭では売っていないものなのだ。