あう町

用事を済ませるためにテレビで見たことのある、けれどいったことのない町へ行った。

行く縁はないだろうと思っていたその町の駅に降り立つとそこにいる人、電車から降りてくる人は皆同じような背格好で、聞き取れない言葉を話し、同じ香りがしている。

わたしより年配の女性を探す方が難しい人混みをわたしはキャップを目深にかぶり直し、

いつもは肩に掛けないバッグを肩にかけ大股でスタスタと目的に向かった。

観光地化しているその町の歩道はまるで毎日学園祭かと思うほど若者で溢れかえり、

道路を歩きたくなる混みようである。

こんな学園祭の道中に目指すビルがあるのか?

いや、あっても何でここに立てたのか(!!!)とブツブツ唱えて進むとその目指すビルが現れた。

 

わたしは用事をさっさと済ませ、一秒でも早くこの町を出たくて仕方ないと思った。

こんな風に思う町もあるのだな。