残された美

老いがはじまると

人は皮膚に皺ができる

人は心に皺ができる

歳をとると

人は知ったようになる

人はわかったふりになる

しみができると

こだわりという理屈を語る

変わらないことの意味を語る

あぁ

生まれてからどんどん命が失せるのに

美からどんどん遠くなる

(いや美はそもそもあったのか)

美とはなんだろう

生きながら答えを見つけるわたしたち

問わなければ答えは在りはしない

在る答えが人を形成してゆく

どんな問いをするかで答えは異なる

問いこそが美を生むのではないだろうか

美しい問いをして生きる

消えゆくこの世で無くなりはしない

残された美。