大貫妙子さん

昨日から少し寒気がして夜中にひどく汗をかいた。

今日行くはずだった月光荘はお休みして寝ていたら

ふと先日、知人が大貫妙子さんの40周年のコンサートに行ってきたと話していたことを思い出し

久しぶりに彼女のCDを引っ張り出して聴いてみた。

高校に通いながら美術学校に通っていた18歳の私に夏期講習である女の子が声をかけてきた。

まるで男の子のような出で立ちの彼女は自分の名を「うんたま」と紹介した。

その名は多摩美術に運良く入りたいからと後からわかったが、私はずっとうんたまと呼んでいた。

その彼女の家に一度だけ招待されていったことがある。

部屋に大貫妙子さんの曲が流れていた。

帰り際、その曲が入っているカセットテープを手渡された。

それからお互い別の大学に入り、初めての大学の夏休みにうんたまが私に会いに来ると連絡がきた。

来たうんたまに私はボーイフレンドを紹介した。

その夜、私はベッドに、うんたまは床に布団を敷いて寝ていると

しくしくすすり泣く声が聞こえてきた。

私は寝たふりしていたがしばらくうんたまのすすり泣くのを聞いていた。

翌朝何事もなかったようにうんたまは帰っていった。

それから10年ほど経ってうんたまから手紙が届いた。

「今、結婚しようと思う女性がいます」とあった。

私はその時、あの夜の涙がなんだったのか理解した。

大貫妙子さんの曲はわたしにとってうんたまそのもののまま。