そこへ水色の眼鏡をかけたトンボが飛んで来た。
”どこいくのさ?”と声をかけて来る。
夜なのに水色の眼鏡を掛けているなんて怪しい。
無視!無視!
歩き続ける私にトンボは鏡を空から落とした。
「自分の顔を見ると行き先がわかるよ」そう言って去った。
恐る恐る鏡を拾い上げると、鏡は半分割れている。
顔が半分しか見ない。
んんんー、見えるようで見えない。
でもこの半分見えるのが私なのか。
すでに頭より身体の方が大きくなっていることに気が付いた。
しかも尾が無い。
もう泳げないのかな。
それともこれから泳ぐ必要のない場所で生きるのかも。
何だか生まれた頃に比べて私は随分変わったな。
これからどう生きてゆけばいいのだろう。
どこで、どんな風に。
トボトボ歩き疲れて目の前にある桑の葉のベッドに潜り込んだ。
「誰?そこにいるの」
ベッドの中から声が聞こえた。