
和菓子の老舗「うさぎや」さんへ伺った。
あんこ嫌いな私だが上生菓子が大好きである。
食べることよりその季節にあった和菓子を職人の巧みの技が
小さなお菓子に凝縮されていることに魅了される。
以前はずんだ餅とみたらし団子ぐらいしか興味がなかった私だが
季節の上生菓子を一つ一つ選んでお茶をお供にいただく時間がこれまた至福なのである(結局食べるのだ)。
へぇ、綺麗な緑に小さな桃色の小花がかわいいと目に留まった「万緑」と
すべてひらがなで注文しやすかった「しょうぶ」を買った。
大事に持ち帰って開けるとピンと尖った緑の葉がついた上生菓子がコロンとすこし横になっている。
れれれ、これなんていう名前だったかな?
万緑は覚えているのだがもう一つが思い出せない。
名前を忘れた方が好みの味だったのだが、食べ終えても思い出せない。
夕方ニュースを見ていると「子供の日にしょうぶ湯に入ると邪気を払うという言い伝えがある」とアナウンサーがしょうぶの葉を握っていた。
あ、しょうぶだ。
そうか、子供の日にちなんでしょうぶのお菓子を作っていたのだと今頃わかる。
ただ食べるだけでなく由来も知るといっそう季節の菓子の味わいも深くなるのだろう。
お腹いっぱいで私はベッドの上でコロンと横になった。
「あーこれではいかん、邪気を払うしょうぶ湯に入らないと。でも年齢制限はあるのかな?」
あと30分で子供の日が終わろうとしている。