まとう色

皆さん、今、どんな色の服をきていますか?

私は黒地にピンクの花がらです。

服と私の歴史は幼稚園のころに始まります。

ピンクの色を着たことがなかった私は、知り合いのおばさんが毛糸でピンクのフリフリがついた上下の服を編んでくれました。

ボタンもピンクに銀色の縁飾り。

大好き過ぎて、着たのは2回ほどでしょうか。

55年以上経った今も屋根裏部屋の茶箱の中で健在です。

小学生になると、祖母が母含め女4人姉妹のためにオーダーしていた(当時は既成服がないので)服を16歳くらいまで着ていました。

いわゆる古着です。

生地はしっかりして、柄も形も今風ではありませんでしたが、

渋めの色合いがとても落ち着きました。

次第に古着のサイズが合わなくなり、何よりDCブランドと言われるカラス族が流行りだして黒が素敵で無敵!という時代が始まりました。

私も思春期で太り始めたこともあり、少しでもすっきり見せよう?と黒の服を買うようになりました。

そして黒が都合よかったのは、夏の鼻血ブーの体質と、お転婆で汚すことを気にせずにすむという、楽ちんさにありました。

 

社会にでると、「スーツを着ないといけないのか?」「それとも個性派でいくか?」

心に合う服装を求めてかなり彷徨い、お金を使い、勉強する日々でした。

ある時期、クローゼットを開けると黒しかないという時代がありました。

それを見た母が「黒ばかり着て毎日お葬式のようだ」と嘆くありさま。

その通りで、離婚による自暴自棄で当時は心晴れない日々でした。

仕事が広告のデザイナーをしていたので色に携わっていたから、気にもしていなかったのです。

流石に黒しかないクローゼットに嫌気をさしはじめたころ、インテリアの世界へ転職しました。

インテリアは多色の世界。

触れるもの全てが彩り豊富です。

そこで色のある服にまた多額の投資をして、黒一掃をしました。

帽子から靴までカラフル!

そんなある日、インテリアの顧客と打ち合わせをしているとあることに気がつきました。

その日、私の着ている服の色に顧客は左右されることを。

それから私は無地で黒の色をまた着るようになりました。

今度は精神的理由ではなく、仕事のインテリアデザイナーとしてと黒を選んでいると自分で認識して。

またまたクローゼットは黒一色。

職場でも「インテリアデザイナーは黒の服がいいわね」と言われることあり、

かなり黒生活が続いていました。

自分でも「黒といっても色々あるし、その黒の違いを楽しめばいいなか」とこの仕事をしているうちはそれでいいと思っていました。

会社を退職してから、黒に対する意識が少しずつ変わり、

昔は心に合わせて黒になっていたけれど、今は黒に心まで引っ張られているのでは?

そう気づくと無性にいろんな色を着たくなりはじめました。

またまたまた、投資して黒一掃。

好きだった柄の服や、色の服を自分に言い聞かせて手放した過去を思い出しつつ、

「あのワンピース、今どこで誰かに着てもらっているのだろうか」などと、ご都合よく反省する私。

そんな私の服人生で55年も存在するピンクの毛糸の服は稀有ではないか。

ここまで来たら棺桶に入る時に上にこの服をかけて欲しいとマジメに思う私。

さて、最近、着ている服の色はというと、多種・多色な感じでしょうか。

やっとクローゼットも私らしいという感じになってきました。

多種、多色、これって私の人生の軌跡とリンクしているような気がします。

私だけでしょうか?

皆さんはどうでしょう?

服と人生、リンクしていますか?