私の本棚

子供の頃、本に興味がなかった。

いわゆる一般の子供が子供時代に必ず読んでいるであろうという本を全く読まなかった。

そんな私が本へ興味をもったのはかなり遅い。

きっかけは飛び出す絵本。

すごい!こんなものを作るなんて!

絵本をきっかけに本をめくることに興味をもった私が、自分の小遣いで初めて買った本のこともよく覚えている。

「女は悲しいものですか」

刑務所に入った女性のノンフィクションの本だった。

確か私は中学3年生だった。

読んで私も悲しくなった。

この本は私の本棚に5年くらい住んでいただろうか。

悲しいことが起き、辛い時期の私に追い出されてしまった。

今、あの本はどこかでいきているのだろうか。

あなたと暮らしていたから、私にも悲しいことが起こってるのじゃないかって思ってしまった。

私が図書館で本を借りてくるようになったのも、中学3年生くらいから。

毎週末、図書館の通路を右から左へと歩いて、目に停まった本を借りるという借り方を高校生になってもやっていた。

悩み事、迷いごと、新たなことを知りたいときは本屋さんか図書館で本にアイコンタクトして読み漁るということを長年続けていたのである。

BOOKOFFなる本屋の隣に引越ししたときは最高だった。

私の本棚が隣にある、くらいの勢いで買っては売るを繰り返し、

時折、気に入ったものは我が本棚に住んで貰っていた。

本や雑誌が溢れて手狭になると、今度は倉庫を借りていた。

私の本は倉庫における、という安心感で読んではホイホイと倉庫に送っていたところ10,000冊近くになってしまった。

度重なる引越しをしても倉庫はあるので、本の管理はお構いなし。

これは流石に本も幸せではないだろう。

反省した私は人生時間をかけて、倉庫から本棚に移り住んでもらうものと、

お嫁にいってもらうものと仕分けし始める。

パチパチと頭で算盤をはじいてみるが、買った金額は高額でも本を買わない人が増えて本屋が潰れるこのご時世では、二束三文になることなど目に見えている。

誰かに喜んでもらえる嫁ぎ先があることが本の幸せではないかと、買取にきた本屋の言い値で売り渡すことにした。

結果、私の本棚に住んでいる本達は名前を呼べるほどの数になり、

安泰してここ数年暮らしていた。

そんな日々、昨夜、突如と立ち退き婆さんが現れ

「もう、住んでいられないからね、出ていってもらうよ」と本棚から引っこ抜く事件が起きたのである。

そう、私は更に、もう読まないであろう小さすぎる字の本や、興味のなくなった写真集の整理を始めたのである。