とある午後。
進む少子化の話を治療院のベッドに横たわりながら先生と話をしていた。
丙午生まれの私の歳は、違う意味で少子化年だったというと、
若い先生は丙午をご存知ないという。
そこで私は頭のかなり奥の奥の方にある丙午情報をひっぱりだした。
「丙と午は60年に一度だけ組み合うもので」
ここまでは大丈夫。
「江戸時代に、ある娘が、恋焦がれた男性に振られた腹いせに
火を放ち、大火になり、処刑されたその娘の生まれ年が丙午だったのよ」
ん?なんか違うかも?
恋人に裏切られたのだったか?
先生は頷いて聞いている。
「えっと、一部訂正。その娘は大屋敷で働いていて、家事手伝いをしながらいたところ、屋敷の旦那と色恋になり、それを咎められて、火をつけたのよ。」
いちまーい
にまーい
さんまーい
頭の隅で皿がカウントされる。
これ番長皿屋敷だわね?
「あ、少し訂正!咎められて井戸に身を投げたはず・・・」
あれ、大火にならないと丙午と結びつかないなー。
それまで頷いていた先生は、相槌ができなくなってきた。
「先生!どうやら私、話がごちゃごちゃになってきたみたい。でもね、その娘が丙午生まれで、男を食い殺すとか言われ、そこから産み控えになったということらしいのよ」
話しながら、なんでそれが男を食い殺すことになるのだろうと疑問が浮かんできた。
「いづれにしても60年に1度、その年がくるから、今度は令和8年、来年!」
そう言い残し、治療院を後にした。
先生、丙午調べてくれたかなー。
帰宅し、早速、ネットで調べると、丙午の話も事実かはわかならいとあった。
八百屋お七の大火、番長皿屋敷の怪談、
脳の奥の奥の方でごちゃ混ぜになってしまった私の情報も
60年で一環し、アップデートしなくてはいけない時期である。