人生のレシピ

さて、今日は人生のレシピを皆さんへお教えしたいと思います。

まずはその前に、材料と用意するものをお伝えしますね。

[材料]あなた一つ。

あなたが浸かる位の現在という名の水を適量。喜怒哀楽の各調味料少々。

運命一つまみ。

好奇心両手いっぱい。

そして行動力をそれと同じ分ご用意ください。

さて、次に用意するものですが、まずあなたが入る大きさの鍋。

これは横幅ではなく深さが必要ですので気をつけてくださいね。

長い時間煮込みますから厚くてしっかりした寸胴鍋がよいでしょう。

間違っても安く済まそうと百均で買わないでくださいね。

しっかりあれこれ見比べて買うとよいでしょう。

次はかき混ぜるヘラです。

毎日毎秒使いますのでプラスチック製ではなく、質のよい時を刻む木ベラがよいでしょう。

次にエプロン。

間違っても借り物はダメですよ。

ちゃんと自分でお金を払い、自分好みのデザインと色で、自分の体に合うものを用意してくださいね。

さてと、お次は、そうそう肝心なものを忘れるところでした。

火床ですね。

こちらの火床は皆さんどういうものを普段お使いですか?チンとなる電気の箱や、触っても熱く無い板ではありませんよ、火が見えるものでなければいけません。

え?火が見えるものは危ないし、火床周りの掃除が大変ですって?あら、あなたは火が見えないのにどうやって火加減されるのですか?オートマティックにできる?まぁ!それは驚きですね。

大切な料理の火加減を自動に任せるなんて。

今の時代は皆さんそうなの?もしそうなら皆さん同じ料理を召し上がることになってしまいますよ。

あなたが皆と違うように、味覚も好みも違いますから、是非、自分の目で、耳で、舌で好みの料理を作ってください。

ではレシピに入りましょう。

 静かで風のない平な場所に火床を用意します。

燃料は何でも構いません。

燃えるものでしたら。

でも不要な煙の出るものは避けたいですね。

自分と周りにもよくありませんので。

火床ができましたらその上に鍋を置きましょう。

蓋は要らないのかって?中が見えないので蓋は要りません。

では、水を入れた深い鍋にあなたを入れてください。

火をつけて鍋から水が沸騰しないように加減しつつ、時々、木ベラであなたを混ぜながら煮込んでいきましょう。

どの位の時間煮込むかですって?そうですね、早くて半年、いえ、まずは一年かしらね。

はい、ここに一年煮込んだあなたがあります。

味見してみますか。

あら、辛いですね。

随分泣いた一年だったのかしら?喜怒哀楽の調味料をまんべんなく使うことできなかったのでしょうね。

 では不足な味に調味料を入れて整えてみましょう。

では更に三年間、味見をしながら煮込んでくださいね。

火加減を見ながら、味見して、エプロンの汚れも気にしつつですよ。

はい、ここに四年煮込んだあなたの鍋があります。

どんな味になりましたか?会場の皆さんも気になりますね。

皆で味見させていただきましょう。

ぺぺっ。まぁなんて甘い!随分と楽をした三年を過ごしたのですね。え?料理を他人に頼り切りだったのですか!あなたの望みに合わせてたくさんの楽を入れてもらったですって?それではあなたの料理になりませんね。

他に誰か味を見て欲しい方はいませんか?

 では、そこのあなた、どうぞこちらへ。

どれどれ、あら!なんて素敵なお味!

どう表現するとよいのかしら、品があって、地に足がついていて、ほど良い具合に苦労と強気もあって、このとろけるようなまろやかな舌触りはとても心地よいです。

おかわりを何杯もしたくなる穏やかさと豊かさ、そして美しい佇まいがあります。

喜怒哀楽の調味料を非常にバランス良く入れ、煮込んだのがわかります。

そうね、一つ付け加えるなら冒険や挑戦を入れると更によかったかも。そうすれば味に深みがでたのではないかしら。

これ、何年煮込みましたか?え?百八年‼️まぁ、長いこと頑張りましたね。

冒険と挑戦をしなかった分、長く煮込めたのかもしれませんね。

皆さんもこのあなたの料理を味見してみてください!たくさん勉強になります。

うんうん、本当にあなたの出汁がでて、スープと相まって素晴らしい料理です。

私は百八年の料理を口にしたのは初めてです。

勉強になりますわ。

エプロンも唯一無二の形とデザインでまるで何もつけていないような一体感で小さな汚れなど気にならないです。

流石の年月ですね。え?木ベラを使わず勘で転がっていた?まぁ、そうなのですね。だからスープも清んでいるのですね。あなたのあなただけのレシピですね!

皆さん!さ、この方のようにあなたが考えるあなただけの手でしか作れない料理が人生のレシピというのですよ。

あ、時間が来ました。

本日は料理教室「人生のレシピの作り方」にご参加いただきましてありがとうございました。

どうぞわたくしたちも見習ってこれからも作って参りましょう!

またの味見を楽しみに。

ごきげんよう。