逆立ち

今年の初夏から毎朝、逆立ちをするようになった。

きっかけは顔の肉の引力抵抗。

つまり、顔の肉を少しでも下がらないように、逆立ちをしたらいいんじゃない?という単純な閃きが始まり。

エイヤ!と壁に向い逆立ちして30を数える。

すぐ鏡を見ると丸くなった真っ赤な我が顔。

一瞬、皺がなくなる。

この話を知人のマッサージ師に話したところ「よいことですね。1日に一回、体を上下逆にすることはとてもよい。まして腕で全身を支えるのは腕の強化にもまりますからね」とのこと。

こうして逆立ちは私の目覚めの日課に認定されたのだが、数日も経たないうちにあることに気がついた。

足が踏み出せない。

手がつけない。

倒れたらどうしよう。

そんなことが頭によぎり、最初の一歩ができなくてスロー再生のような行動になる。

「ちょっと私の思考!逆立ちの邪魔しないでくれないかなー」心で言ってみる。

身体と思考がバラバラ。

スロー再生を4.5回繰り返し、今度はリアルに声をだしてみる

「大丈夫!たかが逆立ちよー」

よし、とばかりに逆立ち成功。

そこでふと、疑問になった。

はじめて逆立ちした時はこの儀式?会話?はなかったのに、いつからこれが始まったのか。

一度も倒れたり、怪我していないのに危機管理因子が先手を打ってくるのだ。

どうやら危機管理因子はSNSや巷の怖いニュースや、びっくり仰天テレビなどが好物で、許可なく私のエリアでメキメキ膨らんでいるようだ。

今朝も偉そうな顔して危機管理因子が「寒い朝です。気をつけないと手がガクっとなり、ボキッとなって、大怪我につながる原因がこの逆立ちにはあります!」と言ってきた。

私は聞こえないふりをして敢えて「逆立ち!」と叫んで逆立ちをした。

危機管理因子撃退成功。

こうやって人生時間に恐怖や刷り込みでしたいことを邪魔されることってどのくらいあるのだろう。

そう思ってから益々、SNSや怖いニュースを見なくなった秋の私です。