絵本が好きで高校生の頃から集めている。
その中にエリック・カールの「はらぺこあおむし」があるのだが、初めて見た時、絵はあまり好みではなかったし、
お話も特に感動はなかったので買わなかった。
そのあらすじは、
暖かな日曜日の朝に、卵から生まれたちっぽけなあおむしは、とても腹ペコだった。食べものを探しに出たあおむしは、月曜日にはりんごを一つ、火曜日には梨を二つたいらげて、少しずつ成長していく。それでも、まだまだ腹ペコだったあおむしは、水曜日にすももを三つ、木曜日にはいちごを四つ、金曜日にオレンジを五つ食べ続けていく。土曜日には食べすぎてお腹を壊してしまうが、その後「きれいな緑の葉」を食べたことで回復して元気になる。様々な食べ物を食べたあおむしは、すっかりふとっちょになり、やがてさなぎになり何日もひたすら眠りにつく。そして最後には、それは美しい蝶へと変身する。
というもので、自分に似た食いしん坊の話程度に思っていた。
ところが数年後、この絵本はエリックの妹が大失恋をして落ち込んでいる時に、妹のために描いた絵本と知り、
購入して読み直すと、なんと愛情深く、そして誰が読んでもお腹(心?)が満たされ、蝶々になれる(素敵な人になる!)ように作られている絵本だと気がついた。
あおむしの少しずつ食べる物を変え増やしていくところなど、まさに思春期から大人へ向かう人の欲の数々、
そして食べ過ぎて消化不良でお腹を壊すところなど、たくさんの欲はよいものでないことを教えてくれる。
その後の”きれいな緑の葉”、これはなんだろう。
これは読み手によってイメージが違うかもしれない。
私は”自分らしさというフィルター”のことに思える。
「はらぺこあおむし」はエリックの妹への優しい眼差しが、誰にとっても心地よい絵本になっているのだろう。
私は昨日、久しぶりの友人知人と初めて行く店で連日頬張りすぎ、胃腸を壊してしまった。
きれいな緑の葉を食べねば、
まだまだ欲深い私である。