「朝顔やつるべとられてもらい水」
どちらも好きな句で、情景がありありと瞼に浮かび、心地よいリズムが好みである。
そして、その作者に興味をもった。
朝顔・・・の作者は加賀千代女、
夕風・・・は正岡子規。
千代女は52歳の時に剃髪し、素園と号した女性であるが、
彼女の特異なメガネで見て詠む俳句は、心の素のままを形なき言葉で叙情的空間を作りだす。
わたしは
『夏に秋が訪れ、裏の入り口に置いた朝顔の鉢が蔓を伸ばし、釣瓶に巻きついているから、
他所から釣瓶をかりて、その朝顔に水をあげたのだった』
と想像し、
今日のように空が少し高くなり、緑の葉が紅く色づいてくるとこの句を思い出す。
そう思い出すわたし自身はこの句のように叙情的空間を作り出す言葉を綴れず、
現実的な、現在イントネーションで話す、どこにでもいる人なのだ。
お、少しセンチメンタル?
秋ちかしかな。