傷の絆創膏

先日、家の階段を駆け上がろうと段を踏み外し、物凄い音と共に転んでしまった。

手をついていなければ顔面骨折だっただろう。

やっちゃった!きっとぶつけたスネはパックリ割れているかもしれない。

そう思うと急に汗が出てきた。

転がる私の手元の側に一緒に転がっている白いものがある。

なんだこれ?

立ち上がり拾い上げると見知らぬ部品。

そこへ目の前の階段のハンドレールの部品が壊れて剥き出しになっている姿が見えた。

これか、君を壊したか。

慌てて部品をはめると、何ごともなかったように綺麗に収まった。よしよし、安堵する私のスネをスゥーと流れるもがある。

手で擦れると真っ赤になった。私の方はよしよし、では無いようだ。

黒のタイツの上からも血が出ているのがわかり、一気に階段を駆け上がりゴミ箱横の荷造りの紐で怪我の上をきつく縛り止血を試みる。

傷より下の位置に縛るんだったか?いや、傷から心臓に近い方だったか?流れ出る血を拭きながら傷を覗き込む。

傷口からなんか出ている。

これ、もしかして病院行かないといけない怪我ではないの?

冷や汗まじりの思考回路は久方ぶりの出血の怪我でギコギコと回転が悪い。

病院へは行かないとしよう、早速、救急箱の中身を探索。

そこに”傷痕を残さず、すぐに直せる”という文句の絆創膏を発見し、血が出ないのを見計ってペトリと貼ってみた。

私の傷はどうなるのだろう。

なんか出ている箇所にこのペトリとなったのはこの先どうなるのだろう。

想像すると汗は一気に背中まで吹き出た。

その夜は絆創膏のおかげでシャワーに入れ、昨日は絆創膏の足を湯船の蓋に乗せてお風呂に入った。

5日経つと傷の周りが赤く輪になっている。その日、初めてその絆創膏のホームページを調べると、貼れる傷、貼れない傷、剥りかえるタイミングなどQ&Aで書かれてあり、

傷の周りが赤くなっているときは直ちに剥がし病院へ言ってください、とある。

これ、私の傷のこと?貼れない傷だったのか。

昔、小指を包丁で切り、普通なら外科へ行かなくてはいけないところを

咄嗟の判断でティッシュと輪ゴムで止血して、後日、テッシュ剥がすときに貧血ものの体験をしたことを思い出した。

結局、病院へ行かなかったので、19歳の私の小指は神経に傷がつき、判断を誤ったと言うことで心にも傷をつけた。

さて、今回の判断は正解なのか?それとも腫れて目立つ傷をこの中年の私のスネの真ん中につけ、心にもつけるのか?
もう、傷の自己判断は大変。

「ねぇ、Siri!この傷は絆創膏?それとも病院行き?」

そんな問いに答えてくれるアプリができないものか。