ちょうど神田川沿いの小道に沿って我が家のある土手の階段を上がろうとした時だった。
全身黒の服をまとった可憐な虫がひらりはらりと
美しい漆黒の4枚の羽を土手からの風に身を任せるように
宛てのない飛び方をして私の前に現れた。
その自然界に不自然な色と飛ぶ姿がこの世のものに思えず、
トンボと理解するまで立ち止まっていたわたしの背後へ
吹かれてかふわふわと羽をそれぞれ動かしながらゆっくり茂みへ消えていった。
喪中のトンボ?
帰宅し調べてみると黒いトンボは「神様の使い」と書いてある。
見事に真っ黒なのはメス、お腹に少し色があるのがオス。
そして黒いトンボは幸運の訪れ、神様の使いという意味もあるらしい。
ご先祖様は赤トンボになって彼岸此岸を行き来する、
黒のトンボは神様を乗せてくるという。
それとも、わたしをお迎えに?