44年の鰹節削り

まったくドケチなのか、超慎重なのか、自分を疑っているのか

買うのに44年も掛かってしまった、

何を買うのにそんな年月をと思いましょう。

自分でも身の周りの物や美味しいものはパッパッと買う質なのに、何故にこの物に関しては

こんなに慎重に、こんなに吟味して、こんなに時間がかかったのか摩訶不思議なのである。

「鰹節削り」

8歳の時に母方の祖父母の家に行った時のこと、

お味噌汁の準備が始まると祖母がシュッシュッと鰹節を削り始めるのだが

煮干しで出汁をとる母からは見かけない行為と

その削りたての鰹節の美味しさと

その大工道具のような箱型の削り節にすっかり魅せられてしまったのが始まり。

それから歳を重ね一人暮らしをしたら鰹節削りを買うぞと心に決めていたのに、

買いたい優先準備はかなり下になってしまい、

やれ画材、やれ靴、やれ家具とやれやれと心が他にそそられる日々が長く続き

結局、鰹節削りめーうらめしや〜と言いながら棺桶に入ることもチラチラし始めたここ数年、

よし!と思いながら買うための品定めをして早3年が経っている。

そして今朝、とうとう購入に至ったわけでして、

まったく44年越しの思いの成就。

呆れる自分に、なんか結局、変わらない深根というものが44年前にわたしの中に寝付いていたのだな、

とやれやれ生活の長かった自分を宥める午後なのである。

早く来い来い〜鰹節削り🎶