想い出になるとき

その曲を聴くと胸がキュンとなることありませんか?

 

わたしは10歳の時、寝ても覚めても好きな男の子がいた

歌手沢田研二の「勝手にしやがれ」の歌が好きでドーナツ盤のレコードをお小遣いで購入したわたしは

”我が家に勝手にしやがれのレコードがあるのよ”とその男の子に何気に言うと聴きたいという

初めて家に呼ぶチャンスとばかり「じゃ来る?」と誘ってみた

他の男子一人を連れて男の子は我が家に来た

嬉しくてドキドキ。

こちらも女の子一人を呼び、4人でポータブル式のレコードプレイヤーの前に集まった

みんなジッと見つめる中、針をそっとレコードに落すが何も聴こえない

あれれ、おかしいな、昨日は聴けたのに

慌てるわたし。

何度か試すも変わらぬ静音

男の子がレコードプレイヤーの上で回るレコードに耳を近づけた

「なんか聴こえるよ」

4人はレコードに耳を近ずけ、囁くように歌っている沢田研二の勝手にしやがれを聴いた

それからの記憶はない。

何を話し、何を食べ、ドキドキ、ワクワクの時間が終わり、みんながどう帰っていったのか。

ガランとした部屋に戻ったわたしは音をきちんと鳴らさなかったポータブルレコーダーを小ついた

もう!! 何で鳴らなかったの!

すると後ろのコードがするりと抜けてプレイヤーがスピーカーに接続されていなかったことを知った

以来、勝手にしやがれを耳にするたびに、この一連を想い出す

わたしの想い出たちは、こんな調子で想い出となり残っている。