白への旅

こだわりは無いが白を染める気がない。

毛があるだけで幸せだと思う。

わたしの頭髪の話である。

5、6年ほど前に1本2本と白髪を見かけ

今年になって急にどどどと数えれない数になった。

白の毛を染めずにひょうひょうとしていると後輩君がわたしの頭を見ながら

「染めないという選択も意外ですが、素敵ですね」

そういわれると確かに若い頃はあれこれカラーやパーマなどしていたなと思い出し、

今は”見た目なんてどうでもいいんです”となったかと自分に訊いてみたがそうでも無い。

髪も眉も身体の毛はこれからどんどん白くなり、地上から旅立つ日が近づくほど白になっていくのではないか。

拘りや執着、思い入れなど生きていた時についたなんやかんやも

心が白の無地になるほどこの世から旅立ちやすくなるのでは無いか。

自分の白髪を見てそう思い始めた。