最後の晩酌

29日は店じまいだからという女将さんの言葉で「だから遊びにきなさいね」というのを感じて

女将さんへの手みあげに「90歳何がめでたい」の作家の本を買っていった。

「今日は誰も来ないから2人で忘年会だ」と80歳近い女将さんと2人でカウンター越しに晩酌を始める。

隣接のバーのオーナー女性が作った焼きそばを食べた客が大変な食あたりになった話を聞いて大笑いしていたが、今夜の私の企みは女将さんの亭主が半年前に他界し希望をなくしてもう店をたたもうかと思い悩んでいる女将さんに来年からもやる気、元気になってもらうことだ。

女将さんにあれこれ夢と希望を持てるような話をして、私は十分に四角くなったお尻を持ち上げるとお腹がなった。

飲んでいるばかりでつまみがサンマと揚げ納豆だったのですっかり消費してしまったらしい。

帰りの最終電車の2本前に乗る頃はすでに日が変わっていたが、私は迷わず焼きそば麺を買って家につくと

着替えもせずに焼きそばを作り始め紅ショウガと青のりを掛けてこの上なく満足に平らげた。

今朝、昨夜の着ていた服を片付けようと持ち上げると、プーンと焼きそばの香りがし、食したことを思い出した。

おい、こら、私!

夜中の1時に焼きそばを作って食べるのはもうやめてね。