窓から眺める

窓から見える大海原のような隣の屋根を眺めては走って見たいなと時折思う

屋根が雨に濡れるとさざ波に見え

かんかん照りは砂丘のよう

こんな陽射しの眩しい朝は空が写り込んだ湖のごとく美しい。

乗ってみたいな

触れてみたいな

ふつふつと屋根に抱く思い。

ある夕暮れどき

豆まきの豆を屋根に向かって投げてみた

カン、コンコロコンと固い音をたたて庭先に落ちた。

以外と急勾配なのか豆が止まれば鳥のご飯になりそうだが。

もう一度投げてみる。カーン、コンコン、コロコロ。

海や砂丘や湖からは想像できない固い音がし、柔らかな時折の空想が瞬時に割れる。

わたしに放り投げられた豆もまさか口に入らず屋根に飛ぶとは思わなかったろう。

豆2個だけ投げて窓を閉めた。