その友人はジョンレノンに似ており、知り合って25年になる。
わたしたちは会おうということで外苑の行きつけのバーで待ち合わせた。
友人3人でバーのカウンターに座るとなんの流れかジョンがこちらを向いて言った
「ねぇ、なんで職をそんなに変えるの?飽きやすいとか?」と訊いてきた。
「子供の頃からあまり同じ場所にいなかったし。転職?それは興味のあることをしたいからよ」と応えた私。
でもね、ジョン。
1年ごとに転校するのって子供ながらも結構きついし、転居も大変なのよ。
そして転職って技がいるものなの。
まして興味ある異業種の仕事をする時はお邪魔しまーすと、そこで新人になることは大変なのですよ。
移るたびに一年生なんだから。
しかもセクハラ、モラハラ、パワハラと枚挙にいとまがございませんの。
ということをバーのカウンターで頭に浮かんだ。
ジョンの顔を覗くとワイン片手にニコニコしている。
転校も、転居(ジョンは結婚して家をでるまで生まれた家で親と暮らしていた)も、
転勤も、もちろん転職などしたことがないジョンには私は根無し草で飽きやすいとしか見えないだろうなと思って言うのをやめた。
転職で楽しかったことなど数えるほどで、孤独とドジと厳しい想い出ばかり。
まさに修行の場なのだ。
でもね、でもねジョン。
しなければよかったという仕事は一つもないかな。
どれも大切なわたしの経験だったのだもの。