絵本の旅

将来何になりたいのか?

自問自答し、硝子吹きや木工やらと放浪していた大学時代

結局、絵本やポストカードなどを描きたいと進路指導の先生に応えると

先生が言った「絵本という就職はないから、一番近い広告代理店がいいんじゃないか。

今はD通より人気のある広告代理店がある。受かるかどうかはわからないが受けてみたらどうか」

受かるかわからないといわれ、受かりたいとすっかりメラメラし始めた。

入社が決まり私はまったく向いていない世界へと足を入れることになった。

メラメラのせいで絵本を描きたいと思っていた想いは鳴門海峡の渦潮のように、

グルグルと渦に巻かれ一度も海面から顔をださずに月日が過ぎた。

写植や歯送りや、版下、色校の印刷会社での立会い、

内情を知りすぎて絵本を描く気がなくなってしまった

「私は絵本で何を描きたかったのだろう」思い出せなくなっていた。

あれから28年、

思い出したわけではないが描きたい物が今見えてきた。

もしあの時に描いたとしても大した物ではなかったことは言うまでもない。