私の甘酒

 

小学生の頃、両親が仕事をしていた。

家には祖父母がおり祖母は甘酒が好きでよく作っていた。

15,16歳くらいだっただろうか、

私は中学生くらいから無償に孤独を感じ、自分のいる場所はここでは無い気がしてならなかった。

自分を理解してもらえる人などいないだろうと、下校途中に電車のホームに飛び込むことを考えた。

息を整え帰路に向かい、家の玄関を開けるとプーンと良い香りがする中で、祖母がおかえりと出迎えた。

思わず下校途中のホームのことを祖母に話した。

するとそれまで甘酒をすすっていた祖母は涙を流し、

「何があっても死んだらダメだよ。何!負けるか!って生きていれば神様は見ていてくれるから」と

私に言った。

その時、私のことを理解してくれる人がいないとしても

私のことで泣いてくれる人がいるんだと思った。

何十年経った今でも、甘酒を作るたびに祖母のことを思い出している。