49年のサヨナラ

別れは突然に訪れた。

さよならをいう間は1ヶ月もなかった。

覚悟を決めていくのに

私にしては珍しく時間がかかった。

今日がお別れなのねと思って目を瞑る。

額に汗がじんわりとにじみ

足が意識とは別にピクピク動く。

出会った時のことをあれこれ思い出していた。

しばしの時間・・・

カランと硬い音がして治療台に置かれた私の奥歯。

長い間、ありがとう。

それにしても、あなたの存在は大きいのね。

抜けた跡、ぽっかり穴が空いている。