まっすぐ

子供の頃、少しずつ自分の中で対話が起こるようになった。

それは私という中に何人かの別の人がいるような対話だ。

目の前にお年寄りの人が荷物を重そうに持っている。

1人目「助けてあげよう!」

2人目「怪しい人に思われるよ」

3人目「重い荷物ではないかもよ」

4人目「他の人が声かけるはず」

5人目「見ない振りでいいんじゃない」

多い時は7、8人まで登場する。

参加人数のピークは大学生の頃で、社会に出てから4、5人で留まる。

その頃には1人目の声がいつも一番好きということに気づき

何人かの対話が始まっても1人目を大切するようにしてきた。

1人目の声は他にはないまっすぐさがある。

綺麗な色や香りをいつも漂わせている。

どこからくるのか1人目よ。