高校1年生のころ、雜誌「暮らしの手帖」を書店で見かけて
素朴な表紙のイラストとデザインに惹かれ手にとった。
パラリとめくるとなんとも言えない時代遅れな写真と記事が独特な世界をもって私に光線を投げかけてきた。
当時はanan、クロワッサンを愛読していたのでその世界とのギャップが摩訶不思議だった。
「この雜誌、どんな人が読んでいるのだろう」と作り手と読み手に興味がわいた。
それからというものの、書店に行ってananとクロワッサンは買い、暮らしの・・は立ち読みをするようになった。
しばらくするとananの記事や広告ばかりのページに飽きるようになり
クロワッサンと暮らしの立ち読み生活になっていた。
そのうちクロワッサンも同じ人ばかり登場するのでつまらなくなり暮らしの・・立ち読みだけになっていた。
自分でも何が気に入って暮らしの・・を見たくなるのかわからない。
わかっていたことは今の高校生活には無縁な記事が多く買っても役にたたないことだった。
高校卒業する間近、大学で一人暮らしを始める私に友達が本をくれた。
「すてきなあなたに」というタイトルとどこか見たことのあるイラスト。
そう、暮らしの・・の中で書かれていたコラムの本だった。
私が暮らしの・・の雜誌のフアンだったことをしらない友達がくれたのでとてもびっくりした。
今思えば、本立てにある「すてきなあなたに」というタイトルの文字に何度助けてもらっただろう。
この1冊の本の存在が何から迷子になりそうな私を繋ぎ止めていてくれた気がする。
何より、この本をくれた友達がなんてすてきなのだろうと今でも感激するのである。