去年、あるフランス製の麻に触れたことがきっかけで麻好きになった。

キッチン、ベッド周りをその真っ白の麻のものに変えていくのはなんとも贅沢で心地よいことだった。

それまでは麻はすぐシワになるし、シミ取りも大変と以前はむしろ遠避けていた。

「へぇ、出会う相手が違うと印象も変わるものね」とフランス製のその麻の出会いに感謝した。

きっとこれまでの私はB級の麻にしか出会っていなかったのだろう。

「ああ、長いこと麻の良さを知らずに生きてきたなんて何だか勿体いなかったじゃない?」

チクリと自分に言ってみた。

するとチクリとされた私が言い返してきた

「まぁ、こうして今に出会えただけでも幸せじゃない。麻に限らず出会いの印象で横へ片付けてしまっていること、他にもあるかもよ」。

確かに。

31回も引っ越しをしていると横へと区分けしがちである。

まして50年も生きていれば人、事に関しても横へとしてこなければ生きてこれなかったことがたんまりある。

知らずに横へとした人、事がとても素敵な麻の如くだったなら・・・

ひゃ、勿体ない。

さてこれからは、横へのことなのか、極上のことなのか、ゆっくりと前後左右、上下も見回して

人、事に関わって生きたいものである。