言葉

私は大学を卒業し広告代理店に入社した。

そして制作室のアートディレクションに配属された。

社内はパワハラ、セクハラは日常茶飯事。

新人ゆえに仕方のない、駄目出しと、目紛しい毎日。

そんな折、隣の部署の男性がその空気を壊すかのように話しかけてくれた

「カオライン、お茶の み に いこ う」

中性的な彼は独特なニュアンスでゆっくり話す。

彼はどんなに急いでいても決して走らないし、怒りもしない。

私は入社して会社嫌々病になり、辞めたいと思っていたある日のこと

「カオライン、いい の よ別に。 自分 の ぺースで。

人はそれ ぞれいて 皆 それ ぞれ違うん だか ら。 

皆んな すきか ってなことばかり いって いるの。

だか ら、 あたなたは その中で 吸収したいも のは吸収 し

自分 をたいせつ にして 生かしなさい。

あなたは ねぇ 人に こころ をひらかせ ることができる もの をもっているよ。

だ から 余計 人から吸収 で きる チャンス があるの よ。

そ れを 利用 しな さい。

素敵だ な と思う 物を吸収 して みましょう よ」

そう言ってくれた。

私は彼の優しい眼差しとキラリと光る言葉が胸に響いた。

そうだな、こんなことを言ってくれる彼に会えたのもこの会社にいたからだ、

もう少しここに居てみよう、そう思って嫌々病が治っていった。