今夜みたいに闇の中で

そこだけ穴が開いているように月が見えると

やはりこの世の向こうはとっても眩しい世界で

こちらの社場が暗い世界ではないかと思えてくる。

この社場を飛び立ち向こうの世界へ近づくと

眩しすぎて自分が人間であることさえ忘れてしまうのではないか?

そんなことをあれこれ思い巡らしていたら後ろから声が聞こえた

「月ってなんで高くなるほど小さくなるんだろうね」

振り向くと男女が月を見上げて話している。

たしかに、

高くなるほど月は小さくなる。

うむ、夜が深まるほど向こうの世の入り口が遠のくのか?

それともこちらの社場が引っ込んで行くのか。

こんなことを考えている人って、この時間、きっと私だけだろうな。