ごはん

子供の頃、祖母が文化鍋でご飯を炊いていた

「はじめちょろちょろ、なかぱっぱ。赤子泣いても蓋とるな」

そう言いながら、火を弱めたり、消したりと祖母だけにある時計に従い

文化鍋の中の見えないご飯の炊き具合を調節していた。

大人になると見えなくても見えるものなのだ

そう思って感心していた。

年をとった今、

炊飯器が出回り文化鍋を買い求めることすら難しい。

見える必要などいらないとばかり

人間を鈍化させるもので周りは溢れている。