生き急ぐ

もともと、空想的な思考をもって生まれて来たと思う。

のんびりしていたのだが、この世に出されてから気ぜわしく

追い立てられるような生活に入り

踊らされているような、

打ち消すような時間が過ぎた。

 

「早くしなさい。急ぎなさい」

ノンビリする私に浴びせられてきた言葉。

私は4歳のころ、着替えをストーブの側でした。

するとピタリと煙突に皮膚が張り付ついて

私の手のひらの甲に焼印がついた。

「人間」

そんな焼印はおかしいと思ったが

今も右手の甲に老齢のシワに隠れて残っている。

それから45年の月日がながれ

焼印が痒くてしょがない。