秋の思い出

小学生の初恋の相手と社会人になって16年ぶりに会うことになった。

その約束が決まった時、北海道は紅葉の盛りで

風に吹かれた色とりどりの葉が絨毯を織り成すように道に敷きつめられていた。

その絨毯の上を歩いていたら音楽が聴こえてきた。

なんていう曲だろう。心に残った。

タイトルとアーティストを調べ私はCDを買いに行った。

なんどもなんども聴いていた。

その約束の日が来るのを楽しみにしながら。

待ち合わせ場所は東京の新宿駅。

くるくる風に舞うような人混みに幾分酔いながら待っていると

向こうから思い出の男の子がスーツを着て現れた。

懐かしい話をしながらお別れをする時、

彼はずっと持っていた袋からCDを取り出し私に差し出した。

開けるとそれは私がなんどもなんども聴いていたあのCDと同じものだった。

こんなことってあるのだろうか。こんな偶然。

今でも私は同じCDを2枚持っており、秋になるとあの曲が聴きたくなるのだ。