目印

窓からは屋根と空しか見えない

遠くまで広がる空の向こうに

鉛筆が1本立っているような塔がある

引っ越してきた時

その塔がなければ空しか見えなく、なんてよいだろうと思った

数日暮らしているうちに

昼間は鉛筆の塔が霞みと混じり

雨の日はどこにあるかと探すようになる

そして夜にはその塔に点く明かりの点滅を眺めていることに気がつく

なければよいのにと思ったが

なければ天気もわからないだろう

夜はどこを眺めて想えばよいのだろう

心の中も同じではないか、

目印がなければこの世のことは多すぎて迷子になる