作り出すもの

高校1年の美術の時間。

木工で鍋敷きや鉛筆立てを作った。

もともと木に触れるのは好きだったが

大学をどこにしよう、私は何をしたいのかと問い詰めていた日々で

この木に触れている時間がずっとあればいいなと思い

木の皮を剥き、削り、板にし、ものを作る....と一連のことができる私立に決めた。

山から倒された木が工房にゴロンと横たわっており

これを機械にかけて皮を剥く。

その時、小さな声が聞こえた。

「大したものもつくれないのに」

一本の見事な無垢の木を使う私に向けた私の心の声だった。

私には木を活かす力はない。私が作るより他のもっと上手で真剣な人が木を使うべきだ、

そう思うようになり木工から遠のくようになった。

今は当時の私が頭でっかちで、言い訳していたことがよくわかる。

「好きなら作っているだけでいいじゃない」

こう言ってやりたい、あの頃の私へ。