15年程前にガラスで出来たグラスを1つ買った。
手作りでぼってりした厚みとタンブラーを不格好にしたような大きさが気に入って
その店の定番商品と知っていたので、いつか暮らしが落ち着いたら数を増やそうと
数年に一度くらい立寄り「待っててね」と心で呼びかけていた。
そのグラスの厚みにはガラス職人の巧みの技が込められており
ガラスの中にたくさんの空気の泡で線を描いたように施されており
そのガラスを作られた時の空気が込められているのかと神秘的なデザインが気に入っていた。
そして先日、そのグラスをとうとう買い足しに行く日が来た。
店へ行き店内グルッと見渡しても姿が無い。
「どこ?フィクスバブルは?」とグラスの名前まで覚えているというのに見当たらない。
「もう作られていないんですよ」という店員の言葉が
「あなた、迎えに来るのが遅いんですよ」に聞こえた。
そうよね・・・
15年も経って迎えに来る非常な母親の気分を味わい
当時からあった向いの中華店に入ってホイコウロウをぱくついた。
中華店があって良かった・・・