日曜の日没後の駅近く
人がすれ違うことも出来ない間口には
修理を待つ人が並んでいる。
若い女性から赤ちゃん連れ、デート帰りのカップルに
買い物帰りの中年女性。
デニムを腰まで下げた女性が黒いペタンコ靴を台に乗せて注文した
「このカガトを2cm上げて欲しい」
次の女性は履いているヒールを指差し
「このカガト直して欲しい」
その次のカップルは
「まだ出来上がってない?」と引き取りに。
その後に大きな紙袋をもった女性が
「このブーツの色を変えれる?」と訊いている。
はい大丈夫です、変えれますと店主がいうと
ブーツを預けて帰っていく。
次の女性は黄色のヒールを見せて
「この間直したんだけどまた壊れた」という。
直ぐに直して差し上げますと店主は応える。
次の中年女性は
「これ直して、明日取りに来るから」と店主の返事も待たずに。
外は街灯が眩しいほど暮れて
人は明日からの仕事が気になるかのように足早に駅を往来する。
私は片足をスリッパに乗せながら
ここのお店のチェアで座っている。
普通なら預かるところだが履いている靴なので直しましょうと
店主は修理を引き受けてくれた。