眩しい白い光が私の上に降り注ぐ、
窓をほんの少し開けた隙間から春の香りが入って来て
パタパタと白いカーテンを揺さぶる。
私の前に懐かしい顔が立っている。
「あれ、あなたは私が6歳の時、同じクラスだっためぐみさんね。確かあのとき交通事故にあわれて松葉杖をついていましたね」
「あら、あなたは私が8歳の時、よく私に遊ぼうと毎日誘っては、私は怖くて逃げるようになってしまった高木さん」
「あなたは、中学一年生の時の・・・」と
どんどん続けて私の前に懐かしい人が現れる。
しかも満面な笑みで私の顔を覗き込むように、
これ以上寄れないというほど近づいては、フッと次の人の顔になる。
何人も何人も現れては微笑みかけて来る。
でも誰も話し掛けてはこない。
不思議なことに、古い年代ごとの順で現れる。
私は声をかけたいのだが、声にならずわーわーと感嘆の想いだけが込上げて来る。
皆懐かしい人ばかりだ。
白いまあるい光を背に
その人たちは私へ愉しそうに近づくとすっーと消えて行く。
ふわっと身体が軽くなった。
目にはカーテンの動きが見えている。
皆どこへ行くの?と訊いた瞬間、
私はストンと音でもしたかのようにベッドの上にいることを自覚した。
懐かしくて懐かしくて、とても愉しかったのに
もう皆はこの世にいない人ばかりだった。