すこしは成長

絵本作家になりたいと大学生の時に真剣に考えた時期が有る。

その頃に出逢った五味太郎さんの「ヒト 二 ツイテ」という絵本は衝撃的な話しだった。

ヒトが宇宙人を観察し、捕らえ、飼い、研究し、ふぅーんと分かると、

食べて、葬り、別れ、悲しみも去り、また新たな宇宙人を捕らえに行くような話しなのだが

全てカタカナで書かれていて文字も少ない。

何より、人間は同じことを繰り返す、という最後のメッセージが強烈である。

確かにヒトは同じことを何度も繰り返す生き物なので、

そうして人間の歴史はミルフィーユのように幾重にもなっているのかもしれない。

忘れるから繰り返すのだろう。

でも忘れることで救われることはたくさんある。

ヒトに忘れるということが備わっていなければ、わたしなどとても恥ずかしくて生きてゆけない。

その分、同じようなことを繰り返しているのだろうけど、

幾十にも重なる美味しいミルフィーユを作る一人のヒトになりたいと

今日も忘れながら旅をしている。