小さな絵本で、ページ数も少ないのだが主役のウサギが自分に思えて特に気に入っている話しがある。
メスのウサギは一人で大きなトランク鞄を持ちながら旅をしている。
とっても大切なものが入っているトランク鞄。でも重くて歩くとすぐ疲れてしまう。
そこへ手ぶらに鼻歌まじりにオスのコアラがやって来てウサギに声を掛ける
「やぁ」
ウサギはそれどころではないので「つーん」
あくせく歩き続けて一休み。
そこに大きな鷹がきてそのウサギの大切なトランク鞄を加えて持ち去ってしまう。
「あーん、わたしの大切なものが!」
ウサギが落ち込んでいると、そこに先ほどのコアラが通り声をかけた。
二人は一緒にご飯を食べて、笑い転げた。
「あー、おいしかったわ」とウサギ。
「それで、そのトランク鞄には何が入っていたの?」とコアラが訊ねた。
ウサギは
「まず、眠れない時に読むぶ厚い本。そして、どちらに行ったら良いか迷った時の方位磁石。
自分の顔を見る手鏡。それと寒い夜に温めてくれるブランケット。最後にとってもキラキラ綺麗な石。
わたし、その石を見ているだけで幸せになれるの」。
するとコアラは言った
「眠れないときは僕と話しをしていればいいよ。
どちらに行くか迷った時は二人で話して決めよう。
自分の顔を確かめたい時は、僕が笑顔なら君も笑顔ってことさ。相手は自分の鏡っていうだろ?
寒い時にはふっついて寝ればいいし。
最後のキラキラの綺麗な石・・・。それは僕にはなれないや」
するとウサギはこんなに一生懸命に励ましてくれるコアラがとっても大好きで愛おしいと想い
キラキラの綺麗な石を見るより幸せだと思った。
「ううん、キラキラ石はあなただもの」
おしまい。
という話しである。
ウサギのどこが自分に似ているかって?
それは内緒。