夕焼け

「あー愉しかった、今日は遊べて嬉しかったな」と友達と遊んで別れる頃

東京の空は優しいオレンジ色の夕焼けでわたしと友達の顔を染めている。

それぞれの家に向きを変え友達は歩いて行く。

わたしは振り返り「また遊ぼうね」と言って手を振る。

友達もまた振り返り「うん、又遊ぼうね」と眩しそうに手を振る。

しばらくして又振り向くわたし。

「ばいばーい」と今度は大きく手を振る。

友達は聞こえないようだ。そのまま角を曲がって行く。蟻のように顔さえも見えないほど小さく遠い。

いつも振り返って最後まで手を振るのはわたし。

もう会えないと、今日のような日がもう来ないと思っていた。

ランドセルが夕陽に照らされ道路に大きな影を映す。

まるでわたしは立って歩いているカタツムリのよう。