眺めていた

私はプロテスタントの女学校に6年通っていた。

中学1年生のとき、イエスキリストの生誕の劇を全校生徒の前で演じることになり、

イエスキリストが誕生した馬小屋で祝福をする天使の役目をすることになった。

「いと たかきところに・・・」と皆が目を閉じうつむき祈っている時、

私は一人顔をあげ、講堂にいるたくさんの生徒の頭が真っ黒に垂れているのをステージ上から眺めた。

皆いま何を考えているのかな、そう思い巡らし一堂を見渡していた。

一人ぐらい私のように顔あげて見渡す不届き者がいてもいいはずだがと探したが見当たらなかった。

遠くにパイプオルガンを奏でている先生がしっかり前を向いているのを見つけると

私は慌てて下を向いた。

その時私は、祈りというのは一堂に集っても一人一人違うことを思っているものだなと感じた。

13歳のクリスマスのことである。