時計を連れて

この置き時計。

母が婚約した時に母の高校時代の友人から頂いたもので、後ろに友人3名の名前が書かれている。

私とこの時計の出会いは5歳のころで、子供心に文字の形が綺麗で気に入っていた。

18歳の時、大学生活の一人暮らしをする時に家の押し入れにしまわれていたこの時計を引っ張りだし

あらたな時を歩む友人の一人として連れ立った。

あれから30年。

カチコチと刻んでいたのは5年ほどで、中の電池を支える金具が壊れてからインテリア道具になったいた。

先日久しぶりに動くか試してみるとゼンマイは最初だけカチコチ言って止まってしまう。

写真をとり「覚えていますか?」と母にメールすると「大切に使っていただきありがとう。壊れたのですか?」と返事がきた。

私は母はこの時計が今でも壊れず動いていると信じていることに驚いた。

とうの昔に眠ったままとは言えないと思い「時間が遅れるようになったので修理に出します」と返した。

思えばこの時計も50年生きているのだ。

そのうちの30年は私と暮らしをともにし、20数回の引っ越しをともにして来たのだから時計以上の存在だ。

もう一度元気なカチコチ音を聞きたいと思い、修理のできる時計屋さんを探している。