
それまで習いものと言うと転勤族の親を持つ運命で、子供の頃は縁がなかった。
引っ越す度にまた新天地で新たに始めなくてはいけないからだ。
そんな折、母は何を思ったのか近所に英語教室が開校し小学4年生の私は通うことになった。
初日に行くとなんと同級生の想い人がいるではないか!
あちゃ、困ったなーと一瞬ドアを後戻りした。
無様な格好はみせれないもの、大丈夫?と自分に訊くと「何とか・・・」と頼りない返事が返って来た。
帰る訳にもいかないので渋々と席に着く。
日本人の先生が入って来て授業が始まった。
叩いたら割れてしまいそうなほどに緊張している私。
「どーぞ当てないで、今日は当てないで」とブツブツ。
すると先生は皆に質問をした「では、豚は英語で何て言うか知っている人!?」と言った。
それ、それなら知っている!と思った私はこの答えを逃してはいけないとばかりに慌てて手を挙げた。
「ハイ、カオラインさん、何ていうかな?」
「はい! トンです!!」答えた瞬間、1、2という間が流れ
「あ”ーそうとも言いますね・・・・」と先生。
(あれ?違ったかな?確かに、何か違うかも・・・)と心の中で焦っていると
「ピッグです!」と後ろの席の子が答えた。
そうだ!それだった!何でトンなのよー!と自分を呪った。
想い人の方など見ることもできず顔が赤くなった。
それが最初で最後の英語教室で、私と英語の出会いだった。
今日、それ以来ぶりに渋谷で英語のレッスンをしてきた。
エッヘン。