コウモリ

それはそれは怖い新任の担任の先生が小学1年の時の私の先生だった。

いまでもフルネームで覚えているスケガワアヤコ先生。

私を天敵のように攻撃してきた。

一人よりおっとりした空想好きの生徒だったと思うのだが

何をするのでも叱られた記憶しか無い。

秋の学芸会で私はコウモリの役になった。

「ぎぎぎぎぎ、ぎぎぎぃぃ、いいか三日のうちにだぞ」という台詞だった。

はてさて、何が三日のうちなのか?

その物語りはおろか、先生の怖さで萎縮した1年生の時の学校生活はあまり記憶が無い。

何度もやり直しさせられた下校間際のハーモニカ、ませていると言われ取り上げられた化粧ポーチ。

そんな断片的な記憶しかない。

数年前に購入した黒のブラウスを着る時、そのブラウスの袖がコウモリの翼のように大きく広がる。

その度に私はその学芸会で演じたコウモリを思い出すのである。

スケガワアヤコ先生が40年以上も前のことを私がこうして思い出しているなどと夢にも思わないだろうな。