父の日である。
昭和9年生まれ。頑固な父だ。
だが父も複雑な生まれ環境と珍しい血筋が原因で幼少のころはよくいじめられ、
それが切っ掛けでわんぱくになったと聞いた。
父は筆まめではないが読書家でいろんな言葉を知っていた。
長女の生まれたばかりのアルバム帳には丁寧な墨筆で言葉が添えられてある。
次女の私は2番目よろしく言葉は一つも書かれていない。
子供心に「むむむ」と思ったものだ。
今でも父から直筆で言葉を書き綴ったものは一枚も無い。
それが切っ掛けで始めたのか、時折書いてある父の伝言メモを取っておくようになった。
「ママさん風邪、はやく休む」
「寝る時、鍵忘れるな」
「畑にいる」
いつしか父の字を思い返すのにと取っているメモ紙だが
やはり毎年父の日に「ありがとう」と言えることが幸せで、
メモ紙を取っておくのはもう少し先で良いのではないか?と思うのだ。
父は私の父親になって49年なる。