ホワイトデー

今日は店内にたくさん男性が訪れた。

まだ家庭の疲れと縁のなさそうな人々。

知らない駅に降りたったようにきょろきょろ店内を見回す人。

宝物でも見つけたかのように目を見開く人

照れくさそうに首を傾けながら考えている人

どれが人気ありますか?と訊いてくる人

10個くださいとお返しの人

皆それぞれの男性。

どんな彼女へあげるのだろう。

この、どの男性にも贈りたい人がいて

掛け替えの無い大切な女性で

その人でなければいけなくて。

わたしはキュッと贈り物のリボンをキツく結ぶ。

すぐにほどけないように。