
1月1日の札幌と羽田の夜間飛行は急にひどく揺れはじめた。
私は1列目で目を閉じながらイヤホンでケルティクウーマンの「You raise me up 」の曲を聴き始めていた頃だった。
英語の歌詞を頭の中で必死に翻訳し意味を感じていると、Mountain という歌詞が何度か繰り返され、その度に機体は大きくエアーポケットに入ったように上下に揺れた。
山を越えているような錯覚になった。
閉じていた目を開けるとCAのチーフが若手のCAの横に座りメモを見せ話していた。
機体はひどく揺れている。
隣の席の男性も、他の人もシーンと静まり返っていた。
目を開けていると酔いそうで再びつむった。
曲はまだ続いている。
その歌は苦難の山を乗り越えて行けと励ましている気がした。
機体はまた大きく上下する。
機長さん頑張ってください、と心で祈りつつ自分も一緒に山を頑張って越えているイメージをした。
激しいエアーポケットを通り羽田の明かりが見えたとき飛行機が滑るようにとても静かに着地した。
今年は躍動と挑戦の年になりそうだ。