いい人はごめんあそばせ。

「私はこれまで嫌いな人にあったことがない」と言われたのは故人映画解説者の淀川長治氏。

私も苦手な人はいるが嫌いな人はいない。

子供の頃から人を嫌いになることは自分が小さいからだと思っていた。

そして人に嫌われるのは自分が未熟だからだと言い聞かせていた。

そんなこんなしているうちに大人になり、

人の対処、感情の処理をしなければならぬことが膨大になり

その大波にザブーンザブーンと幾度も私は飲み込まれたのである。

「人に好かれたいと思うのやめたら?」と美大の予備校時代の友人に言われた。

不躾な言葉に18歳の私は動揺したがまんざら失礼なだけではないと今はこうして胸に残っている。

嫌われたくない、好かれたい、どちらも思っているわけではなく

ただ平和でいたいと思っているのである。

でも最近本当に平和なのか?と自問することがあり、

相手の気持ちや周りの状況を慮るばかりで自分の気持ちや感情を後回しにしていないかと。

「犬は人に付き、猫は家に付く」というが私は猫でいたいのに人に付く厄介なことになっているのではないか?

来年の私の目標は「ちょっとわがままな猫でごめんあそばせ」でいこうと思う。