上がる下がる

いつからだろう、動く階段を選ぶようになったのは。

今日、長くもなく短くもない階段を見た。

地下から地上に続く波のように見える階段。

その脇にある動く階段を人々は使い、波のような階段に人気はない。

わたしは思わず波の階段を昇りたくなった。

そう思ったのに私の足は動く階段に向いている。

何だかこじんまり、つまらない人になっていないか。

子供の頃は階段を見ればグー、チョキ、パーとジャンケンをして数だけ進む遊びをよくしたものだ。

誰が一番先に降りれるとか、

後ろ向きで上がって見ようとか、

今の私にはその片鱗はない。

書類の鞄、ヒールの靴、そして何よりちっぽけな世間体が邪魔をしている。

いつからこんなことになったんだい、オイっ コラ!