秋に一歩

騒がしかった蝉も姿を消し

予期していた一人夜なべの静寂

空に筋引く高い雲

音なく飛び交うトンボ達

のんびり歩く昇りの道

抜ける風が

木々の葉が

差す陽射しが

皆、みなが

真夏が過ぎたとわからせる

書く手紙の挨拶も

選ぶサンダルの靴も

夏が過ぎたと知っているのに

自分の心だけがまだ季節替えに着いて行けず

意味のない蚊取り線香をたき

むやみに扇風機を回している

日焼けする間もなかった指輪の跡が

妙に切ない

今年の夏は暑かったのですよね?

思い返すことも昔に感じるのは

やはり季節がかわったからだろうか。